1997年 中村都史子 九州大学出版会
明治維新後の西洋文化の流入は日本人に感動や驚異など様々な影響をあたえました。ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンもその影響を担った一人でした。森鴎外や坪内逍遥、上田敏などがたえず関心を示し、漱石や抱月らも欧州留学より戻りイプセンへ言及したことなどが注目されます。
本書はイプセンの死から十年間(1906年から1916年)、日本人にイプセンのどのような点が関心事として映り、どのような評価を受けたかを鷗外、逍遥、上田敏を中心に分析し、さらにはイプセンを媒介としてみた日本人の精神史や生活史の断面の素描が試みられています。
複数人のイプセン像が錯綜した本研究は文学史のみならず、日本近代史を見通すことのできる視点があります。
