石井恭二『正法眼蔵 注釈・現代訳』を入荷いたしました。
1998年 石井恭二 注釈・現代訳 河出書房新社
正法眼蔵は鎌倉時代に道元が著した仏書です。全仏法の根源である釈尊の悟りの原体験へ直結する禅定体験を通じて、坐禅を「正伝の仏法」ととらえ唯一絶対行こそが安楽の道であると説かれています。また近代哲学とも比較されることのある存在論の問題として、生死一如、有時相即、行持道環などの生活において具体的な真実の在り方が説かれ、日本思想史上の最高峰とまで言われています。仏教の派閥化や女性差別へ反対した道元の思想のすべてが詰まっているといっても過言ではありません。
本書は『正法眼蔵』『辦道話』の全訳で、サンスクリットによる原意をあげ道元の使う用語の内容との符号を行い、注には西欧哲学との対比も示されております。現代思潮社の創業者であった石井恭二による訳註です。20代から道元に親しみ、またデリダやブランショ、サドやバタイユなどへも造詣の深い訳者による本書はあらゆる関心の方面から道元研究の座右となるでしょう。