在庫書籍紹介:写経より見たる奈良朝仏教の研究 新装版

写経より見たる奈良朝仏教の研究

「写経より見たる奈良朝仏教の研究 新装版」

石田茂作著 東洋書林 1982年

 

石田茂作は、大正から昭和にかけて活躍した仏教考古学者です。

奈良国立博物館長を務めたことがあるほか、旭日章を授与され、文化功労者・岡崎名誉市民にもなっており、仏教考古学の研究に大いに貢献した研究者です。

大きな業績としては法隆寺再建説、古代寺院伽藍配置の分類などが挙げられます。

世界最古の木造建築といわれる法隆寺が、火事にて再建設されているという説と、改築・増築はされたものの再建はされず、創建以来の姿が残されているという説に分かれ、明治以降論争を繰り広げてられていました。

日本書紀の記述、木材の材質や状態、建築法などからどちらの立場も様々な根拠や学説が現れ、決着には困難を極めました。

しかし1939年、石田の発掘調査により、現在の西院伽藍の南東部から火災に遭ったとみられる若草伽藍跡が発見されます。これが火災で焼失した前身寺院に当たることが認められ、さらに金堂跡と塔跡も発見したことにより、やはり法隆寺は現在地に再建されたとする説が確定されました。

(この説により学界が一時定着されたことは間違いなく石田の功績ですが、2001年の研究によって新たに発見された事実があり、法隆寺再建説自体はまた謎に包まれ、現在も研究が進んでいます。)

 

日本における仏教考古学の権威のひとり、著作も多いですが、今回ご紹介する書籍は研究初期の文献です。

初版は1930年刊行の古い書籍ですが、写真もふんだんに取り入れられており、研究が深まる文献です。

 

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